無 言 館 (戦没画学生慰霊美術館)

「無言館レクイエムから明日へ」(テレビ番組)日本放送文化大賞グランプリ受賞→

      上田市古安曾三王山3462
       電話 0268-37-1650

       10:00〜17:00(無休)
     入館料 ご芳志
(500〜1000円)

       長野新幹線、しなの鉄道上田駅より
      上田交通別所線で、塩田駅下車、徒歩30分

 信濃デッサン館から、坂を下りて、のぼると、無言館に至る。つや消しの押さえぎみの黒い屋根とアーチ型の紋様を配したごく薄いグレーの壁面。とても地味だが鬱々たるわけでもない。正面側には、窓がない。厚くて重いドアを開くと受付はなく、入館料は、出口で志をという趣旨の案内が掲げられている。

 東京美術学校(現東京芸大)や多摩帝国美術学校(現武蔵野美大・多摩美大の前身)に在籍し戦没した画学生の作品や絵を添えた手紙などの遺品が、展示されている。遺族が、美術品というより形見として大切に保存されていたであろう遺作の傷みには、戦後50年余を経て、戦争そのものがともに風化してきた現実を考えさせられる。
 ここで、作品は話をしてくれる。観る人の方が無言であろうか。徴兵され出征し、志半ばで筆を折って二度と再び描くことのできなかった彼らの作品の語りかけてくるものが、恨み、つらみも、哀しみではなく、澄明な魂から発せられた優しさに思われる。